ベランダの鳩を勝手に駆除すると「犯罪」になる?
毎日ベランダを汚されたり、早朝から鳴き声で起こされたりすると、「今すぐどうにかしてやりたい!」と感情的になってしまいますよね。
しかし、ここで焦って間違った行動をとってしまうと、被害者であるはずのあなたが「法律違反(犯罪者)」として罰せられてしまうという恐ろしい落とし穴が存在します。
この記事では、ご自身のベランダであっても「どこまでなら自分で対策していいのか」「何をしたら逮捕や罰金の対象になるのか」という合法・違法の境界線を、専門用語を極力省いてわかりやすく解説します。
鳩を守る強固な法律「鳥獣保護管理法」とは?

日本の野生動物(鳩やカラスなども含む)は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(通称:鳥獣保護管理法)」という法律で手厚く保護されています。
この法律の根幹となるのが、以下の条文です。
【鳥獣保護管理法 第8条】(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の禁止)
鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。(※一部例外規定を除く)
簡単に言うと、「国や自治体の許可なく、野生の鳥を捕まえたり、殺したり、卵を獲ったり、卵を割ったりしてはいけない」という厳しいルールです。親鳥だけでなく、「卵」や「ヒナ」も法律の保護対象になっている点が最大のポイントです。
【一覧表】自分でやっていい鳩対策・違法になる対策の境界線
この第8条を基準に、ベランダの鳩対策における合法・違法の境界線を整理しました。判断の最大の基準は「鳩の体に直接危害を加えるか」「巣に卵やヒナがいるか」の2点です。
| 対策の内容 | 法律上の判断 | 理由・注意点 |
| フンの掃除・消毒 | 🟢 OK(合法) | 衛生環境を保つための正当な行為です。 |
| ネットや忌避剤の設置 | 🟢 OK(合法) | 鳩を「物理的に寄り付かせない」ための予防は問題ありません。 |
| 大きな音や光で追い払う | 🟢 OK(合法) | 傷つけずに「追い払うだけ」なら合法です。 |
| 作りかけの「空の巣」を捨てる | 🟢 OK(合法) | 小枝を集めただけで、卵もヒナもいない状態なら撤去可能です。 |
| 鳩を網などで捕まえる | ❌ NG(違法) | 無許可の捕獲は法律違反になります。 |
| 毒餌やエアガンで攻撃する | ❌ NG(違法) | 鳥獣を傷つける・殺傷する行為は重罪です。 |
| 卵・ヒナがいる巣を捨てる | ❌ NG(違法) | 最も多い法律違反です(後述します)。 |
要注意!一番多い法律違反は「卵やヒナがいる巣の撤去」

チェックリストの中でも、一般の方が一番やってしまいがちなのが「卵やヒナがいる巣の撤去」です。
「自分の家のベランダなんだから、卵くらいバレないだろう」と安易にゴミ箱へ捨ててしまうと、以下の重い罰則が待っています。
【鳥獣保護管理法 第83条】(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第八条の規定に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をした者
たかが鳩の卵を捨てただけで、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という前科がつく可能性があります。ご近所の目撃情報から通報されるケースもあるため、卵やヒナには絶対に手を出してはいけません。
卵やヒナを見つけたら?自治体への「有害鳥獣捕獲」申請手続きの流れ

もし、すでに卵が産み落とされていたり、ヒナが孵っていたりした場合、合法的に撤去するには自治体への「許可申請」が必要になります。ご自身で申請をして撤去する場合、以下のような手順を踏む必要があります。
- 窓口での事前相談お住まいの市区町村の役所(環境課や生活衛生課など)に「ベランダの鳩に卵を産まれて生活に支障が出ている」と相談します。
- 申請書類の準備・提出自治体指定の「有害鳥獣捕獲等許可申請書」に記入します。被害状況がわかる写真や、ベランダの図面などの添付書類が必要です。
- 審査と許可証の交付審査が行われ、問題がなければ数日〜数週間程度で「許可証(従事者証)」が発行されます。(※許可が下りるまでの間も、勝手に卵を捨ててはいけません)
- 捕獲(卵の撤去)の実施許可証を手元に置いた状態で、自ら巣と卵を撤去し、処分します。病原菌に感染しないよう、マスクや手袋などの厳重な装備で行う必要があります。
- 役所への事後報告許可された期間が終了したら、速やかに許可証を返納し「いつ、どこで、いくつ卵を処分したか」を報告して完了です。
まとめ:自力対策は「巣作り前」まで!無理せずプロに頼るのが確実
ベランダの鳩対策において、私たちが自力で戦えるのは「鳩が下見に来ている段階」から「卵を産む前(巣作り中)」までです。
- 鳩を傷つけず、追い払う・予防するのはOK
- 卵やヒナを勝手に触る・捨てるのは絶対NG(犯罪になります)
現実問題として、「被害に苦しんでいるのに何週間も役所の許可を待ち、自ら病原菌だらけの卵を処分する」というのは、一般の方にとって負担が大きすぎます。
もしすでに卵やヒナの姿があった場合は、絶対に手を触れず、法律に則った適正な手続きを代行し、安全に処理してくれる「専門の鳩駆除業者」へ一刻も早く相談することをおすすめします。
